フィリピンで入院? フィリピンの病院の賢い利用方法: 8月 2009

2009年8月8日土曜日

フィリピンで入院?病院を選ぶコツ2-格安国立病院?

こんにちは

さて今回は安いと言われている
フィリピンの国立病院について

多分フィリピンに長く滞在し、フィリピン人と
深く関わってきた人なら一度はフィリピンの
国立病院に行ったことがあると思います。

たとえばマニラで有名な国立病院なら
フィリピン大学医学部付属の
Philippine General Hospital(PGH)
セブではCebu City Hospital と 
Vicente Sotto Memorial Medical Centerなど.
地方の州都(日本の県庁所在地)にはそれそれ
その地方の名前をつけたProvincial Hospital(州病院)
があり、更に各大きな町や市にはDistrict Hospitalと
呼ばれる市立病院があります。

それらの病院は国の病院でありながらも立てや横の
連携がまったくなく、日本のようにもっと技術の高い病院に
推薦するという制度がぜんぜんできていません。

それぞれの病院はその病院の管轄の地域、たとえば
市の病院であれば市の予算で運営されているため
その市の大きさによって病院の施設のレベルも違ってきます。

病院の入院費はご存知のように私立病院と比べると
かなり安くなります。

まず入院するときの手続きでは50ぺそほどあれば
簡単に入院できてしまいます。

病室は共同部屋であれば根本的に無料。
ただし混みあっているときには二人の患者が
一つのベッドを共有することもよくあります。

二人用の個室もありますがそれは各病院によって料金が違い
目安は一日400ペソから600ぺそです。

ですからデング熱などのようにあまり薬を使わない病気では
個室を使っても5千ぺそもせずに退院できます。


薬はやはり別払いですので、病院に払う費用のほかに
5千ペソは最低ないと薬が買えず何の治療もできません。
国立病院の中には安いジェネリックの薬を販売する薬局があり
入院中に使用する点滴液から注射器まですべて買ってくるように
言われますので、そこで買えば安くなります。

フィリピンの貧しい人々を対象にした病院なのですが
無料なのは共同部屋のベッド使用料とその病院で働く勤務医の
診察料や手術の医術料だけです。

たしかに手術をともなう入院では自前に外科の先生に払う
医術料の交渉をせずにすみ、無料ですのでかなり安くなります。
要は薬代さえあれば国立病院では手術ができるわけです。

ただし国立病院はあくまで貧しいフィリピン人と公務員のために
安く医療を提供するためにあるものです。ですから病院はいつも
大勢の貧しい人々で混みあい、衛生上かなり汚いベッドや部屋しか
ないことがほとんどです。貧しい人々はお金がないものですから
早く治って帰ろうと必死です。ある意味戦場の簡易病院のような
有様ですのでそこに日本人のあなたが行くとかなり目立つわけです。

そして更に注意するべきことは、国立病院では主治医を選ぶことが
できません。国立病院で勤務している医者はすべて専門課程を
研修中の研修医です。そして安く医療を提供するために
開業している専門家を主治医に呼ぶことをしません。

患者は入院したときにたまたまその日が当直の勤務医によって
診察され、退院するまでその先生のもとで治療を受けます。
国立病院の研修医は患者さんの数があまりにも多いので
しっかりした専門家からの教えを受ける時間がなく、
かなりの部分独学で患者さんの数をこなすことによって
専門の技術を習得します。

ですから当然一人の患者さんにかける時間は少なく、
説明してもなかなか理解できない貧しい患者さんが多いので
文句を言ってもあまり聞いてくれず、横柄な態度の医者が
多いのも国立病院です。

しかも患者さんから診察料を取らず、月額の決まった給料制で
仕事をしているので、患者さんが多くても給料は増えず
不機嫌な医者が多いのも国立病院です。

国立病院の看護婦はある程度地位が高く、自分の判断で
熱が出ている患者さんとかに処方をして応急医療処置を
施すことができます。
心肺停止などの患者さんに最初にかけつけ処置をほどこしたりも
するのですが、最近はそういったレベルの高い看護婦は
外国から推薦をうけどんどん海外に流出し、残っている看護婦は
へたくそな看護婦か経験の浅い人ばかりです。

経験の浅い駄目な看護婦ほど横柄な態度で患者を見下し
私は忙しいのだから面倒をかけるなといった態度で
患者さんを呼び捨てし、薬をあげたらさっさと行ってしまうような
看護婦がたくさんいます。

医者の私でも信頼してまかせられる看護婦がどんどん減っており
将来怖いところがあります。

もしお金が本当になく節約したい方は国立病院にいっても
かまいませんが、これらの不便さや医者の横柄さを考慮にいれ
文句は聞いてくれないと覚悟して行ってください。

中には人柄の良い腕の立つ医者や看護婦もいますから
運良くその良い医者や良い看護婦の担当になることを
祈って出かけるようにしてください。

それではお元気で






2009年8月2日日曜日

フィリピンで入院?病院を選ぶコツ-私立病院について、その1

こんにちは

さて今回はフィリピンの私立病院について
もう少し詳しくお伝えしたいと思います。

フィリピンの私立病院は医者、検査機関、
そして薬局をもちながらも、
それぞれが独立して営業する体制をとっています。

ですから個人で開業している専門をもった医師が
主治医として患者さんを受け持ち、病院や検査機関を
使って治療を施しますが、
それぞれ別に営業されているものなので
別々に使用料を支払わなければなりません。

医者は自分の腕と学歴、経験から知名度を上げ
患者さんから戴く診察料によって生計を立てています。
ですから有名な医者ほど診察料が高く、特に
外科医などの手術をともなう治療では、
医者はその手術の難易度から自由に自分の医術料を
決めることができます。

それが英語でドクターズフィー(Doctor's fee)といい
手術をする前に患者はかならず外科医に相談し
外科医と手術代の交渉をしてから手術を始めます。

日本人は良く外科医に言われた金額が
病院に入院してかかるすべての金額と誤解し
だまされたとぼやくのですが、それはフィリピンの
常識を知らない日本人の方にも落ち度があるわけです。

フィリピンの医者は直接、病院の営業とは
一切関わっていません。

ですから病院側が入院費をどのくらい取るか
薬がどのぐらいかかるかなどは実際に自分が
入院したことのある医者以外は良く知りません。

ですから医者に入院費はどのくらいかかりますか
と聞いても病院によって違うわけで
はっきりと答えられないわけです。

医者の診察料や手術の医術料はその医者の
知名度から相場が決まっているのですが、
医者は自由に患者と交渉することができるので
お金持ちと思われる患者には、日本人も含めて
少し高めの医術料をふっかけてきます。
逆に知り合いから紹介された患者や、
患者に恩がある場合には
医術料をただにしたりすることもあります。
いずれも交渉しだいなわけです。

患者は当然その医術料が高いなと思った場合
自由に他の外科医を選ぶことができます。

これが日本と違うところで、
患者は医者を自由に選ぶ権利があるわけです。

ですから日本人であるあなたは
医者に言われた金額を鵜呑みにせず
ほかの医者にも相談してみて交渉をしてから
手術などに合意するようお願いいたします。

フィリピンの私立病院は患者に有名な医者たちと
最新の設備、そして快適な病室を提供して営利を得る
商売です。

ですからお金を良く払う金持ちの患者には
とことん快適な環境と融通の利くサービスを提供しますが
お金を出さない患者にはまったくと言っていいほど
サービスをしてくれないか、無視されます。
その患者さんの区別が部屋のランクから決まるのです。

最上階のスイートルームにいる患者さんには
医者であっても薬をあげる看護婦であっても
患者さんの許可なしに病室に入ることはできません。
ですから夜中に患者が寝たいから誰も入れるなと言えば
医者も朝までまって病室への入室を待つわけです。

それが普通の病室の患者さんであれば医者や看護婦の
したいがまま、夜中であっても患者さんをたたき起こして
検査をしたり、用が済むまで患者さんを寝させません。

看護陣は病院に雇われた医者の召使なので
医療チームとして患者を診ることはなく
ただ医者に言われたことをすべてこなさないと
給料が貰えなくなるので働くだけの召使で
患者を労わる融通などはまったくありません。

ただ私から言わせると
これはフィリピンの看護婦が悪いというのではなく
病院のシステムが営業中心の患者を搾取してでも
病院の採算を立てるのが第一的方針のせいだと
思われます。
現にカナダやアメリカではフィリピン人の看護婦で
優秀賞を貰っている方がたくさんいます。

まあその辺の意見はさておき、
私立病院の看護婦は患者さんの容態などを診る
技術を持っていても、医者の許可なしで医療行為を
することができません。
しかも主治医である医師は独立した開業医であり
病院から給料をもらっている看護婦は医者の連絡先でさえ
知らないことがほとんどです。

看護婦は患者に何かあったとき、病院に所属している
研修中の勤務医に連絡するのが仕事で、患者の容態の
チェックは勤務医の仕事です。そして勤務医が看護婦に
応急処置の指図をし、主治医に連絡するわけです。

このようにフィリピンでは主治医が患者のすべての責任を
もち、勤務医や看護婦は自分の判断でミスをおこさないよう
余計なことは何もしません。
逆にいえば主治医の許可なしでは患者さんが嫌がっても
夜中血圧の測定や薬の投与など融通を利かしてやめることは
できないのです。

ですから治療方法への苦情や文句は直接主治医に
話してください。主治医に文句を言わないと何も解決しない
仕組みになっているのです。